1990年9月20日発行/全国青年司法書士連絡協議会

原野商法のニ次被害が どうしておこるのか
物言わぬ土地どもに問いかけてみたかった。
私たちが北海道千歳市を訪ねたの は、前回のレポート「しのびよる原
野商法の影」を小冊子として発行し てからまるー年を経過した梅雨のさなか、折りしも、栃木県の那須その
他の原野商法の被害者を転売話でだ ました「ジャルス」の関係者の摘発
が、テレビや新聞で報道されている ころだった。
私たち「原野商法情報センター」 にときおり届けられる情報は、だまされて買ってしまった原野をめぐり
新たな詐欺−二次、三次の詐欺商 法の攻勢がかけられている状況を
はっきりと物語っている。詐欺師た ちはいまも原野商法の被害者を、追
い討ちをかけるように執勘につけ回 しているのだ。だから私たちには、今回もう1度現地をおとずれる必要
があったのだ。
悪徳商法の舞台となった原野にいま何が起きているのかを確かめ、考え、体感すること・・いや、そんな
アクティブなものではないと思う。
うっそうと茂る雑木林が、クマザサ におおわれた原野が、こんなにも多
くの人々の夢や欲望を飲みこんで いったわけを、そしてさらに、どう
して新たな幻想と幻影を生み出すこ とができるのかそのわけを、物言わぬ土地どもに問いかけてみたかった
からだ。決して言葉では返ってこな いその答を、自分の目でさぐってみ
る必要があったからだ。

ジェット機がゆっくりと降下し、 森の向こうに沈みこんでいく。風向
きのせいか音はほとんど聞こえてこ ない。
私たち一行8名が立っているのは千歳空港に隣接するひらけた土地
だった。国道から分かれてきた工事 用道路は拡張中の空港用地のフェン
スの中へ伸び、丘の向こうへ消えて いる。
ここが、問題の土地のひとつで あった。
「隣接」という言葉がミソなので ある。都市部に住む人には想像もつ
くまい。空港用地のフェンスはまる で西部劇に登場する砦だった。砦は
開拓者たちが築いた町を守っている のだ。砦をー歩でも出れば、そこは
不毛な砂漠が地平線まで続くi…… 幸いというべきか、ここは砂漠で
はなか?た。薄木がところどころに 茂っているので多少は緑も見える。
だが、土は鉄灰色で、肥沃な感じは まったくない。足下がグスクスと崩
れた。ここは火山灰地なのだ。

夏だというのに寒々しい土地だ。 そのー部分が最近土盛りされたよう に見える。プラスチックの杭が無造 作に捨てられ、そのかわり新しいコ ンクリート杭が埋設されていた。測 量をし直したのだろう。 「薄井所有地」と書かれた薄板が 立っている。しかし、雑にペンキを 塗り直したその板は、元は「横山所有地」と書かれていたことがすぐにわかる。おそらく、測量したことを よそおうための写真を撮影する用地 だったのだろう。いま私たちが立っ ているこの土地が「測量商法」の現 場であることは、ほぼ確実なのでは ないだろうか。